国連ミャンマー特使クリスティン・バーグナー氏が、2021年5月27日に東京・永田町の衆議院第一棟で、世界連邦議会委員会委員長の衛藤征士郎議員、日本ミャンマー友好議員連盟委員長の逢沢一郎議員、ミャンマー民主化支援議員連盟委員長の中川正春議員と会談した。翌日の28日には茂木外務大臣と会談した。(28/5/2021)(リポーター:渡邉優紀)

衛藤征士郎議員と対談する国連ミャンマー特使クリスティン・バーグナー氏

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日本ミャンマー友好議員連盟逢沢一郎委員長とミャンマー民主化支援議員連盟中川正春委員長と会談

 

逢沢一郎                中川正春

2021年5月28日、国連事務総長のミャンマー特使、クリスティン・バーグナー氏が、茂木敏夫外相を表敬訪問しました。

 

5月27日に、衆議院第一議員会館にバーグナー国連ミャンマー担当特使を迎え、世界連邦日本国会委員会会長の衛藤征士郎議員、日本・ミャンマー議員連盟会長の逢沢一郎議員、ミャンマーの民主化を支援する議員連盟会長の中川正春議員、長谷川祐弘日本平和構築協会理事長、田中朋清世界連邦日本宗教委員会事務総長、戸松義晴全日本仏教会理事長らが参加してミャンマー情勢に関する意見交換が行われた。

 

まず衛藤議員が参加者の紹介をし、バーグナー特使がスピーチをした。

彼女は「本日はこのようなハイレベルな協議ができることを嬉しく思います。今回のクーデターでは軍が少数民族だけでなくビルマ族にも銃を向けているため衝撃的であり、ビルマ族に対し少数民族が手を差し伸べるという今までにない状況です。これは本クーデターの唯一のポジティブな面と言えます。しかしビルマ族を匿った少数民族が攻撃の対象になってしまっており、周辺諸国に難民として助けを求めています。彼らは政治的な危機だけでなくコロナウイルスの危険にも晒されています。これを受け私は6週間バンコクに行き、タイのプラユット首相とも面会をしました。彼とは赤シャツと黄シャツの政局対立があった時から知り合っていましたが、これまで以上に私と協力しているというシグナルを送りたいという意思の表れを感じました。私はこれまで中立国らしい静かな外交をし、メディアに対し沈黙を守ってきましたが、今回のクーデターに関しては国民に弾圧を加える行為は間違っているとはっきり示すべきだと考えています。クーデターが終わった後に続くのは軍支配です。クーデターが終わる前にこれを防ぐための策を練らなければいけません。国連加盟国の中で正式に軍を支援しているところはありませんが、裏から支援している国に対する加盟国対策も必要です。私はもともと4つのシナリオを想定していました。1つ目は社会的混乱が激化し国家が機能しなくなってしまう、2つ目は軍の弾圧が強まり人々が音を上げる、3つ目は国全体が戦争になる、4つ目は軍を制裁によって孤立させ軍に降参させるシナリオです。しかし4つ目のシナリオは可能性が低いように感じます。私がここ数週間のうちに考えた5つ目のシナリオは、さまざまなアクターを巻き込んで包括的な対話をすることです。私はこの対話に日本にも参加して欲しいと考えており、今回の来日の目的はここにあります。」と述べた。

続いて逢沢議員が「昨日オンラインでNLDの執行部の方々と対話をしましたが、NLDこそが公式だという立場を明確にしてほしい、飢餓を防ぐための資金援助も必要だという話がありました。資金を軍に横取りされないように考えていく必要があると思うとともに、特使がおっしゃったように、国連加盟国がぐらつかないようにすることは大事だと思います。他にも軍政権の国はたくさんあるのだから、ミャンマーの新しい軍政権とつきあっていこう、という状況は防がなければなりません。また、特使にお聞きしたいのはASEANの次のアクションは何だと見ているのかということと、2011年と2015年の選挙における軍の行動に今回の状況を打開するヒントが隠されているのではないか、ということです。」と述べ、これに対しバーグナー特使は「2015年の軍の行動は、彼らの立場に確信があったことが関係していると考えています。彼らは25%の議席を持っていて、改憲には75%の賛成が必要であるため、改憲はあり得ず、形式的にはNLDが政府を組織したとしても実質的には軍が支配できるということになります。ただしこの中でアウンサンスーチー氏は慎重に行動しました。彼女は168条の改憲を議論しましたが、最終的に改憲が実現されたのは4条だけでした。私は、スーチー氏が選挙前に、改革をして軍のクーデターを招くことがないように、改革は選挙後に国民の支持を得た状態で行おうと考えていることを知っていたので、国際社会に対してアウンサンスーチー氏にプレッシャーをかけないように働きかけていましたが、クーデターが起こってしまったことは残念に思います。また司令官は、はじめNLDが82%の議席を取ったことを認めていましたが、側近の影響を受け拒否に転じ、NLDに対し選挙の不正を調査すること、国会の開催を延長すること、(軍が多数派を占める)国家安全保障委員会を開催することを要求しました。その後スーチー氏陣営と軍の交渉がうまくいかず、クーデターが起こってしまいました。」と答えた。

次に中川議員が「私は、少数民族の軍が政権を打ち立てたというプロセスについて懸念しています。このままでは先ほど特使が述べた第三のシナリオになりかねません。日本政府は軍とのパイプを活かして解決をしたいと考えているので、日本を交えた対話の中で、軍によるクーデターは認めないということを表明していきたいと思います。日本はそのスキームの中に入れているのでしょうか?」と述べ、これに対しバーグナー特使は「それこそが私の希望です。日本はこの関係において重要な立場にいますから、日本なしでの対話は考えられません。日本は2015年の停戦協定における貢献をはじめ、さまざまなアクターとの貴重な信頼関係を築いています。軍へのチャンネルもオープンにしつつ国民のことも気にかけている日本の姿勢、とくに経済政策は評価できます。」と答え、これに対し中川議員は「1988年に日本が最初に軍を承認した背景を鑑みるとミャンマー国民から日本がどう思われているのか微妙なところですが、国会から民主化へのメッセージを出していけるように活動していきたいと思います。」と述べた。

続いて戸松氏が「軍はスパイを寺院に送り、寺には言論の自由がありません。タイは軍政ですが彼らは仏教と王室を尊重しています。そのため今回のクーデターは批判されるべきものです。私たちは以前、ロヒンギャ難民に対し簡易トイレを送る活動をしました。今回も、軍はまず暴力を止めるべきだということを表明していきます。私たちにできることは軍本部と対話することに加え、ミャンマーの仏教組織を通してメッセージを送ったり、ミャンマー国民を支援したりすることですが、常に軍の監視がある中でどのように資金援助をするか考えなければなりません。世界仏教徒連盟の現会長であるパン・ワナメッティ氏は元ASEAN主席でタイ赤十字社の会長でもいらっしゃいますので、彼も重要な立場にいると思います。」と述べた。これに対し特使は、「私がジャカルタで司令官に会った時、司令官に人権を理解してもらうことは困難でしたが、私自身が仏教国で暮らしていた経験から、3戒を持った指導者は良い指導者ではないと説得したところ、彼の態度が変わったことがありました。そのため仏教コミュニティを通したメッセージ、指導者は仏教の心を忘れてはならないと伝えることは重要であると考えます。」と応えた。

続いて長谷川氏が「私は今回の状況は東ティモールで2006年に起こった内戦の状況と似ていると思います。その時必要だったことは、どちらかが一時的に引き下がることでした。そこで私は日本国に元首相の議員がいることを示しつつ当時の首相を説得し、カムバックするべきだという提案をしました。彼はそれを受け入れ、実際に現在カムバックしています。今回も、両者が自身を正しいと思い続ければ内戦が起こります。また、「恐れ」というのは人間に一番強い感情であるため、彼が降りた場合に生命をおかさないという態度を国際社会は示す必要があると思います。国連は平和と正義を強調し、許してはならない、としますが、悪いことは悪いことと認めた上でそれを罰しない姿勢も重要です。ミャンマーの人々は過去に拘りませんから、未来のためにお互いを許すことも必要です。これはルワンダのケースと似ています。一つお聞きしたいのは、私たちは先日6人衆での提言の中でASEANを通した支援を支持しましたが、日本も直接支援をしたほうがいいのでしょうか。」と述べ、これに対し特使は「直接の支援を支持します。もちろんASEANを無視してはいけませんが、日本のほうが影響力を持っています。」と答えた。また、これに関連して中川議員が特使に対しどの国が関わっていくべきだと考えているかを尋ねると、インド、タイ、日本、中国、EU、国連、ASEANに加え、アメリカ、イギリス、ノルウェー、スイスを挙げた。「私は司令官と対話に参加するその他のアクター間のメッセンジャーを務めようと思います。軍にまだチャンネルを持っているので、彼らにこの対話に入るように要請し、もし断られた場合は対話に参加するその他のアクターにこの対話を継続することで軍に連帯を示すように説得しますし、もし軍が対話に参加することを承諾するならば、それは最善のケースです。」と述べた。

田中氏は、「様々なストラテジー、包括的な対話ももちろん重要ですが、この問題を解決するにあたって私が一番大切だと考えているのは人の心です。皆が幸せに暮らすことを追求する、人類普遍的な価値観を共有するところから対話が始まっていくべきですし、宗教的・学術的関係者も入れた対話を行なっていくべきだと思います。」と述べた。

最後に衛藤議員が「本日のバーグナー特使のお話をしっかりと受け止め、対応していきたいと思います。世界共通の共有財が毀損されていくことを傍観してはいけないと思います。超党派の議員としてしっかりリーダーシップを発揮していく必要があると思います。」と述べ、閉会した。当初予定していた時間を超え活発な議論が行われ、日本がミャンマーを主体的に支援していく必要性が確認された。(リポーター:渡邉優紀)

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国連事務総長のミャンマー特使、クリスティン・バーグナーは、2021年5月28日、茂木敏夫外相を表敬訪問しました。同日、東京都丸の内で開催された日本特派員会見の記者会見で、ミャンマー問題解決を提案した「全党対話」について説明した。

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